好きなもの目録 その45 アッパレ!戦国大合戦

原恵一監督は、杉浦日向子原作の『百日紅』をアニメ化するみたいです。
『はじまりのみち』の評判が良いので、
実写映画の方に行ってしまうのかと心配しました。


標題:原恵一の映画クレヨンしんちゃん

分類:アニメ>映画>ファミリー

■題名:映画クレヨンしんちゃん
嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦

監督:原 恵一

絵コンテ・演出:水島 努

声優:
矢島 晶子
ならはし みき
藤原 啓治
こおろぎ さとみ
真柴 摩利
林 玉緒
一龍斎 貞友
佐藤 智恵

発表年:
2001年
2002年

製作国:日本

評価:S ★★★★★△

■内容・雑記:
このブログの2010/10/20の記事の再録(抜粋、一部修正)を――

『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
この映画、子供向けなんですが
子供にトラウマを持たせるんじゃ……。
普段、誰もが当たり前だと思っている親子の絆、
親が子供に対する愛情(無償の愛)が幻想かもしれない。と
昨今、育児放棄や児童虐待の話題が絶えませんが、
若い親、年取っている親でも、自分の血の繋がった子供に対する愛情ってのは
絶対的なものなのか?ってゆう投げかけを感じるんですよ。
ある日突然、親が自分の子どもに対して愛情を失ってもなんら不思議ではない。
永井豪の「ススムちゃん大ショック」みたいに、
ある日突然、大人たちが狂い、子供を襲いだしてもなんら不思議ではない。
親が子を愛しむってのを当然とするのは、昔からの慣習でしかないのでは?
そんな疑問を感じさせるアニメ。
親や大人が、懐かしさのニオイに負け、
親や大人としての仕事や役割を放棄して、
子供時代、1960年代や1970年代の懐かしい世界に引き篭もる。
親に見捨てられた子供の不安、未来への絶望。
こんな、子供にとって怖い映画ってないっすよ。
一見、子供向けのギャグ・アニメですが。
自分(しんちゃん)の親や先生が、子供(しんちゃん達を)狩りにくる。
――これは怖い。
自分を庇護してくれる立場の人間が、自分を捕まえに来る。
捕らえられた後は、20世紀の世界に都合のいい人間に再教育・洗脳されるという……。

今の日本みたいな閉塞状況で未来に明るい希望が持てないと、
過去に、高度成長期の輝かしい日本に戻りたいと、
大人が思ってもなんら不思議ではない。
大人達が夢中になる20世紀博は、大阪万博をもとにしてるんだろうけど。
懐かしい子供の頃に帰りたい、子供の頃の世界で遊びたいってのが、
ちょっと諸星大二郎の「子供の王国」を思い浮かべるなぁ。
その「子供の王国」に抵抗するのが、しんちゃん達・かすかべ防衛隊。

20世紀博では、特撮や魔女っ娘モノの主人公にコスプレして、
ビデオを撮るサービスがあるんですが、
『ヒーロー(ひろし)SUN』のアクションシーン、
特撮にしては動きが速すぎて、光線も出るタイミングが速いかなぁ。
もうちょっと、ノッソリと切れのない動きの方が特撮っぽいような。
カーチェイス・シーンや20世紀博タワーの鉄筋の上でのシーンとか、
ギャグアクションの場面が冗長かな。
『オトナ帝国の逆襲』は名作なんですが、そこが
私が『戦国大合戦』の方を『オトナ帝国』より上にみる理由かな。
(戦国時代モノなんかの歴史好きってのもありますが)

カーチェイスも、鉄筋の上でのアクションも、
面白いことは面白いんですが、実写で考えると死と隣り合わせというか、
一つ間違えれば死ぬか大怪我って感じ。
バスに乗り込もうとするひろしやみさえを邪魔するしんちゃん……。
一見ギャグなんですが、高速で移動する車から無理な体勢で落ちれば
死に繋がる。
なんか子供が親を殺そうとしている場面に見えるっす。
高所の鉄筋の上、追い詰められる野原一家。
いったいどうやって、この絶体絶命の場所から切り抜けるのか?と思ったら、
「みさえのデカイケツだぞ!」という、
わかったようなわからないような圧力により敵を退却させるとか。
まぁそこがアニメのいいとこですがね。
カーチェイス・シーンは、『ブルース・ブラザーズ』の影響らしいです。

まぁなんだかんだ言って、
しんちゃんが一人でタワーの階段を駆け上がって行く場面で、
いつも号泣しちゃう私なんですがね。
一生懸命階段を昇り、ボロボロになりながら
(イエスタディ・ワンスモアの)ケンの脚にすがりつくしんちゃん……泣ける。
涙が止まらないっす。

最後、野原一家の親子の絆・未来への希望を、
テレビ中継で観たオトナ帝国の住民の懐かしいにおい度が落ちて、
(イエスタディ・ワンスモアの)ケンとチャコの計画が挫折。
二人が飛び降り自殺しようとするって場面も子供向けアニメとは思えない。
そう、このアニメ、
子供に観せたくないアニメと言われ続けた『クレヨンしんちゃん』の、
大人に対する挑戦なんですよ、原恵一監督の。

イエスタディ・ワンスモアのケンの顔がジョン・レノンっぽい。
「シェー」とか「ガチョーン」とかの懐かしの昭和ギャグよりも、
関根勤の「ケレル」の一言の方が、『コサキン』を思い出して懐かしかった。


『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』
『クレヨンしんちゃん』のアニメとしては失敗作、
しかし『映画クレヨンしんちゃん』の最高傑作。
それが『アッパレ!戦国大合戦』!

『クレヨンしんちゃん』のTVアニメは、今は観てないけど、
昔はけっこう面白くて観ていたなぁ。
劇場映画シリーズもテレビで放送するのを観てたんですが、
『オトナ帝国』は泣かせる、傑作だ!と前評判を聞いていたんですが、
私的にはそれほどではなかったです。
しかし、この『戦国大合戦』を観たとき、衝撃をうけたんですよ!
その戦国時代の戦闘シーン見て!!
私がそれまで観て来た映画やアニメの中で、
一番時代考証がしっかりしているとおもわれる合戦場面だったんで。
なんだ……コレは!と驚いたんですね。
それまでの時代劇や戦国モノってウソというか、
当時(実際)の合戦とは違う戦闘シーンで、迫力を出していたと思うんですが。
投石や、槍を突くんじゃなく上から叩きつけたり、
収穫前の作物の刈り働きとか、
こんなの綿密に描写した映画とか観たことなかったんですよ私は。
しかもそれが子供向けアニメで、というんで二度ビックリ。
時代劇モノのアニメの合戦場面では、
『もののけ姫』がリアルで凄いと言われていると思うんですが、
私に言わせれば、『戦国大合戦』の方が『もののけ姫』より上。
でも、戦国モノとか歴史・時代モノに興味ない人、子供には
どこが凄いのか、まったくわからないだろうなぁ。
なんか無駄に凄いんですよ。

合戦で、人が大勢死ぬ又は怪我する。
槍で人を突く、刀で切る、焙烙玉の爆発で人が弾け飛ぶ、
などの直接描写は避けてますが、どうみても凄惨な殺戮シーン。
なのに子供向けアニメ!
案外、子供にはしんちゃんと同じで、
お祭りくらいにしか感じてないのかもしれないけど。
テレビやゲームで流れる戦争って感じで、現実感が持てないのかな、
現代の子は。

井尻又兵衛と春日廉、姫と配下の武将、という身分の違いながら
お互い好きあっている二人。
しんちゃんに、「未来では結婚はお互い好きあっていればいいんだよ」
と聞き、家と家、政略結婚しか許されない、
この時代に虚しさ・遣る瀬無さを感じる廉ちゃんなんだけど……。
現代なんかもっとシビアで、金や身分のない男なんか相手にされないし、
恋愛と結婚は別腹って女の人の方が多いんじゃ。

「裏切り御免」とボーちゃんが言うんだけど、
ボーちゃんは『隠し砦の三悪人』を観てるのか?
ひょっとして黒澤明ファンとか。

しんちゃんや野原一家が脇でしかないが、
しんちゃんがいないと、この映画の面白さが半減する。


『オトナ帝国の逆襲』では、現在(今)に絶望した人々が過去の世界に逆もどり。
過去に生きる大人達と、未来を生きるしんちゃん達との対比。
『戦国大合戦』では、戦で命のやり取りをしている過去の世界に、
平和な現代の価値観・物質を持ち込んでのカルチャーギャップ(イデオロギーの違い)。
――を子供向けのファミリー映画で描く原恵一の奥深さ。

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